目次

  1. 1. 相続した土地の名義変更手続きの流れ
    1. 1-1. 遺産分割協議を行う
    2. 1-2. 名義変更に必要な書類をそろえる
    3. 1-3. 法務局へ名義変更を申請する
  2. 2. 相続税の納税について
    1. 2-1. 正味の相続財産を計算する
    2. 2-2. 課税相続財産を計算する
    3. 2-3. 相続税総額を計算する
    4. 2-4. 各相続人の相続税納税額を計算する
  3. 3. 相続した土地を売却する場合のポイント・注意点
    1. 3-1. 取得費加算の特例
    2. 3-2. 小規模宅地の特例の適用を受けている場合には注意が必要
  4. 4. まとめ

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遺言書がない場合は相続人全員で話し合い、亡くなった方の財産を、誰がどう相続するか決めなければなりません。この話し合いのことを「遺産分割協議」と言い、そしてこの内容を書き記した文書を「遺産分割協議書」と言います。

名義変更登記をするためには原則として、相続人全員が署名した遺産分割協議書が必要です。

名義変更に必要な書類は以下のとおりです。

登記書類
・登記申請書
・(代理人が手続きを行う場合)委任状
・収入印紙

添付書類
・被相続人のすべての戸籍謄本
・被相続人の除票(または戸籍の附票)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票
・固定資産評価証明書
・相続関係説明図
登記申請書のひな型は、法務局のホームページでもダウンロードすることができます。

被相続人のすべての戸籍謄本とは、亡くなった方の出生までさかのぼった、すべての戸籍謄本を言います。あまりなじみのない書類ですが、要は「名義変更のため生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本」という形で、役所に発行願いをすれば大丈夫でしょう。

上記の必要書類を管轄の法務局へ提出し、その後1~2週間で土地の権利証が発行され、名義変更登記は完了です。

相続税の計算は以下の手順で行います。

相続財産には多くの場合、土地や建物の不動産や預金、株式等があります。これらの財産から亡くなった人が生前に有していた借入金や未払金があれば、それら債務を差し引いたものが正味の相続財産となります。葬式費用についても相続財産から引くことができます。

課税相続財産は、正味の相続財産から基礎控除額を控除した金額となります。

相続税額=(課税遺産総額—基礎控除額)×相続税率
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

各相続人の相続税を計算する前に、いったん2で計算した課税相続財産を法定相続割合で分割したと仮定して、相続税の総額を計算します。

例えば、課税遺産総額が7,200万円で法定相続人が配偶者及び子A、Bの2人の場合、以下のような分割になります。

配偶者:7,200万円×1/2=3,600万円
子A:7,200万円×1/4=1,800万円
子B:7,200万円×1/4=1,800万円

そして、相続税の速算表を用いて相続人ごとに相続税額を計算します。

配偶者:3,600万円×20%-200万円=520万円
子A:1,800万円×15%-50万円=220万円
子B:1,800万円×15%-50万円=220万円

相続税総額は、上記の各個人ごとに計算した相続税額を合計した金額ですので、相続税総額は520万円+220万円+220万円=960万円となります。

各相続人の納税額は上記3の相続税の総額から、実際の各人の相続割合によって分割した金額となります。例えば、実際の相続割合が配偶者50%、子Aが30%、子Bが20%の場合は、以下のようになります。

配偶者:960万円×50%=480万円
子A:960万円×30%=288万円
子B:960万円×20%=192万円

相続で取得した土地を売却した場合に、支払った相続税額のうち一定金額を売却不動産の取得費に加算することができるというものです。これにより、不動産を売却した際に納める譲渡所得税の節税につながります。

ただし、この特例を受けるためには、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までにその不動産を売却していることが要件となります。

売却を考えている相続不動産が小規模宅地等の特例の適用を受けている場合には、注意しなければなりません。

相続開始から10ヶ月以内(相続税の申告期限前)に売却してしまった場合、保有要件など、小規模宅地の特例の適用要件を満たさなくなるため、特例の適用を受けることができなくなってしまいます。

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相続した土地の名義変更の方法、相続税の計算、および相続した土地を売却する場合のポイント・注意点について一通りまとめてみましたが、法律や税金の知識のない一般の方の場合、相続の手続きを自分で行うのは難しいものです。弁護士や司法書士、税理士などの専門家に依頼することをお勧めします。

(記事は2020年3月1日時点の情報に基づいています)

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