目次

  1. 1. 生命保険はみなし相続財産
  2. 2. 生命保険金には非課税枠が設けられている
  3. 3. 生命保険金に課される相続税の計算例
    1. 3-1. 相続財産に加算する生命保険金の金額を計算する
    2. 3-2. 相続財産に加算して課税される相続財産を計算する
    3. 3-3. 税率を掛けて納税額を計算する。
  4. 4. 負担者や受取人で税金の種類が異なる
  5. 5. 非課税枠の活用で相続税の節税に

生命保険(死亡保険)を受け取った場合の生命保険金は「相続財産」となり、相続税が課税されます。しかし、生命保険金には非課税枠が設けられており、「500万円×法定相続人の数」までは相続税がかかりません。結構大きな金額ですよね。

法定相続人が3人いれば、1,500万円までは税金がかからないということなので、同じ現金で1,500万円を残すより生命保険金をかけた方が圧倒的にお得ということになります。ただし、契約内容などには注意が必要です。そこで今回は、生命保険金の相続税の計算や、注意点について解説していきます。

相続財産とは、簡単に言うと、亡くなった人がその亡くなった日に所有していた財産を指します。この意味からすると、生命保険金は、亡くなった日に所有していた財産とは言えません。

しかし、亡くなったことが原因で発生するので、実質的には相続で獲得した財産とみなせるのです。

このように、相続によって取得したのと同じ効果を有する財産を「みなし相続財産」と言います。生命保険金以外のみなし相続財産には、会社の死亡退職金、個人年金保険の年金受取額などがあります。

すでに述べたように、生命保険金等の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。法定相続人数が、妻と子2人の計3人だとすると、500万円×3人で1500万円まで相続税がかかりません。

それでは、生命保険金を含む場合の相続税の計算を具体例を使い、順を追って考えていきましょう。

今回の具体例の条件は、以下の通りです
・保険料負担者:Aさん
・被保険者:Aさん
・保険金受取人:子Bさん
・保険金の受取額:800万円
・その他の相続財産:5000万円

法定相続人がBさん1人ですので、保険金の非課税枠は500万円となります。保険金の受取額が800万円ですので、これを差し引いて、300万円が残ります。

相続財産5,000万円に上記の保険金300万円を加えて、課税財産は合計5,300万円です。

次に基礎控除額の計算です。計算方法は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)です。今回の事例を当てはめると、3,600万円になります。この分を控除して、課税相続財産は5,300万円-3,600万円=1,700万円となります。

相続税の税率表 から、この場合の納税額は1,700万円×15%-50万円=205万円となります。

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生命保険は、亡くなった場合に得られる財産ですが、以下のように保険料を支払った人や受け取った人によって、相続税の課税対象にならない場合があるので注意が必要です。箇条書きで説明します。

1.契約者(保険料の負担者)と被保険者(亡くなった人)が同一人物で、受取人は相続人の場合⇒相続税の対象

2.契約者と被保険者が異なり、契約者と受取人が同一人物の場合⇒所得税の対象

3.契約者と被保険者が異なり、契約者とは違う別の人が受取人⇒贈与税の対象

例えば、Aさんが亡くなったとして、保険金受取人がBさんだった場合、以下の表のようになります。

生命保険は大きな非課税枠が認められているため、活用すれば相続税の節税につながります
生命保険は大きな非課税枠が認められているため、活用すれば相続税の節税につながります

生命保険には非課税枠が大きく認められているため、これを活用すれば大きく相続税を節税することができます。ただし、特に保険契約を見直す際や、受取人を変更する際、保険金受取人を誰にするかは、受け取る際に発生する税金のことも考慮して決めるようにしてください。

(記事は2020年2月1日時点の情報に基づいています)