相続税を算定するためには、相続財産の価値を把握することが必要です。相続財産の中に、有価証券、特に株式が含まれている場合、その評価額も算定しなければなりません。そこで今回は、有価証券の中でも保有している人が多い株式の評価方法を解説します。

上場?非上場?全く異なる評価

株式と一口に言っても、金融商品取引所に上場している大きな会社の株式もあれば、個人事業に近い非上場の小規模会社が発行する株式もあり、その内容もさまざまです。

多種多様な会社の株式を全て同じ方法で評価すると、課税の公平性を欠くため、相続税の評価では、まず上場株式か非上場株式かで評価の方法が分かれます。

さらに詳しく言うと、非上場株式の中でも、相続などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主などか、それ以外の株主かによっても評価方法が大きく違います。

上場株式の場合

金融商品取引所に上場されている上場株式の価格は、その市場価格が基本となります。原則的な考え方としては、亡くなった日を基準に、その最終取り引き価格で評価することになります。

しかし、上場株式の場合、価格は常に変動するため、暴落する時もあれば急騰する時もあります。そこで、公平に評価するため、当月・前月・前々月の月ごとの平均価格の方が低ければ、その低い価格を採用します。低い価格で評価できれば、相続税はその分だけ安くなり、納税者にも有利です。

まとめると、所有する人が亡くなった日を指す「課税時期」を基準に、金融商品取引所が公表する次の4つある価格のうちで、もっとも低い価格で評価します。

・課税時期の最終価格
・課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
・課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
・課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

なお、課税時期に取り引きが行われなかったために、その日の最終価格がない場合や、その株式に権利落ちや配当落ちといったイレギュラーなことがある場合には、一定の修正をすることになっています。

価格の具体的な調べ方として、日々の終値についてはインターネットの各種サイトで確認でき、月間の平均額も日本証券取引所のホームページでチェックできます。インターネット以外では、使用していた証券会社に残高証明書を発行してもらうことで、価格を調べられます。

非上場株式で支配株主ではない場合

非上場株式で、会社を所有して社長に就いている「オーナー社長」の家族などを「同族株主」と言います。この同族株主以外の株主が取得した場合は、「配当還元法」という評価方法で株式を評価します。配当還元方式とは、その株式を持つことで受け取る一年間の配当金額を一定の利率(10%)で割り戻して、元本である株式の価額を評価する方法です。

考え方は、もたらされる収益から逆算して株式の価値を評価するものです。詳細な算式は割愛しますが、配当金額を基準に評価額を算出するため、比較的に算定しやすい方法です。

非上場株式で支配株主の場合

同族株主が非上場会社の発行する株式を取得した場合には、原則的評価方法として会社の規模や類似する業種の株価などを考慮した複雑な計算方法で評価額を決定します。

市場価格や配当ではなく、会社の規模や業態、純資産や損益といった詳細な財務情報をもとに、会社の価値を評価します。非常に複雑な計算で、規模や業種での判定もあり、判断を誤ると評価額が大きく異なってしまうことがあるので注意が必要です。

見てきた通り、相続財産に株式が含まれている場合、株式の種類によっては、非常に複雑な計算が必要となります。上場株式なのか、非上場株式なのか、どういった算定方法が必要なのか、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

(記事は2020年2月1日現在の情報に基づくものです)