実家の相続4 売却や処分を決めたら、使える行政サービスや補助金の検討を
前回まで、空き家を具体的に売却する方法について説明しました。今回は、売却手続きにあたって利用できる補助金等の助成や、売れやすい物件について解説します。
前回まで、空き家を具体的に売却する方法について説明しました。今回は、売却手続きにあたって利用できる補助金等の助成や、売れやすい物件について解説します。
私が住む青森県八戸市は空き家対策として各種の施策を行っています。
例えば、「はちのへ空き家ずかん」というポータルサイトを運営し、各種相談先を紹介しているほか、売却を予定している空き家の紹介を行っています。
登録物件はまだ多くありませんが、手ごろな中古住宅を求める人の目にはつきやすくなりますので、同様のサービスがあれば登録してもよいでしょう。
私が関与する相続手続きでも、年に何件か空き家が売れるケースがあります。
八戸市の場合ですが、売却できる物件にはいくつか、共通した条件があるようです。
第一に、到着するまでの道路が広いことです。
八戸市は電車による移動が一般的ではなく、通勤や通学には自家用車かバスを使います。
中古住宅を購入する人の多くは仕事をしていて、通勤に車を使うケースが多いため、運転がしにくい狭い道を通らなければならない住宅は人気が低いようです。
第二に、敷地内に駐車場があることです。八戸市は自宅敷地内に駐車することが一般的なため、賃貸駐車場はあまりありません。敷地内にスペースを確保できなければ場所を探すことが困難になるため、十分な広さがある物件が好まれます。
第三に、古すぎないことです。空き家の買い手は購入後、リフォームを行うことが多いです。理由は様々でしょうが、多くの人は「新築に比べて割安」という理由で空き家の購入を決めています。従って、築年数が古い物件は、多額のリフォーム費用がかかることが多く敬遠されがちです。新築から20~30年の物件は、条件が良ければ売れる可能性が高いでしょう。50年以上経過している場合は、解体しての更地利用を前提として値段が付けられるケースが多い印象です。
条件に合い、状態のよい空き家は情報を公開するとすぐに問い合わせがあり、数日で買い手が見つかることもあります。
また、処分にかかる費用を補助する制度も用意されています。
八戸市の場合では、補助を受けられるのは、市内に所在する一戸建て住宅であること、居住目的で売却する予定があること、などの条件があります。
条件を満たした物件については、何種類かの補助金が受けられます。
第一に受けられるのは、既存住宅状況調査費用の補助です。既存住宅状況調査技術者が行う状況調査に要する経費を、住宅一戸当たり5万円を上限とし、費用の2分の1に相当する金額につき補助を受けられます。
第二に受けられるのは、空き家に所在する遺品等の家財を処分したり、搬出したりする費用の補助です。補助額は既存住宅調査費用と同じです。
第三に受けられるのは、相続登記にかかる司法書士費用の補助です。こちらも補助額は同一となっています。他に、瑕疵保険に加入する際の保険料も補助が受けられます。
全国の各自治体が地域の実情に合わせてさまざまな支援を行っています。
空き家の売却を決めたら、適用できる支援制度を調べてみてはいかがでしょうか。
(記事は2020年2月1日時点の情報に基づいています)
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