目次

  1. 1. 共有持分の売却を共有者に反対されたら
  2. 2. 共有者と共有状態を解消する共有物分割請求とは?
    1. 2-1. 共有物分割請求の概要
    2. 2-2. 共有物分割請求をする際に必要な書類、手続き
    3. 2-3. 共有物分割請求で共有を解消するメリットとデメリット
  3. 3. 自分の持ち分だけを売却する持分売却のメリット・デメリット
    1. 3-1. 共有持分を売却するメリットとデメリット
    2. 3-2. 共有持分を買い取る不動産会社と交渉する際のポイント

共有者に1人でも売却に反対している人がいる場合、共有している不動産の全体を売却することはできません。

また、自分の持ち分である「共有持分」の売却についても反対されることもあるでしょう。その際の対処法としては、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

  • 自分の共有持分を共有者に買い取ってもらう
  • 売却を反対している人の共有持分を買い取る
  • 自分の共有持分だけを売却する

まずは、この3つの方法があることを認識しておきましょう。

次に、共有者と共有状態を解消する「共有物分割請求」について、その概要や手続き方法を解説していきます。

共有物分割請求には、以下3つの方法があります。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割

現物分割は、物理的に不動産を分割します。例えば共有持分の割合が1/2ずつの土地を現物分割するなら、実際にその土地を2つの土地に分割した後、それぞれ所有権を持つということです。

代償分割は、共有者のうち1人だけが不動産を取得して、不動産を取得できなかった人は「代償」をもらいます。代償とは、「本来もらえるはずの持分割合」に相当する金銭などのことです。

換価分割とは、不動産を売却して持分割合に応じてお金を分配することです。

共有物分割請求する際の手続きは、まず当事者間で協議します。協議しても話がまとまらなければ、調停・訴訟へと移行します。

調停・訴訟は、はじめに現物分割を検討して、その後に代償分割を検討、最後に換価分割を検討するという流れが一般的です。訴訟を起こしても「共有物分割請求の棄却」という判決が出れば、分割請求は却下されたということで「現状維持」になります。

なお必要書類は以下の通りです。

  • 登記簿謄本(登記識別情報)
  • 土地測量図及び境界確認書
  • 身分証明書
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 住民票

協議で終わるのか、訴訟まで発展するのかによって必要書類は異なるので、詳細は不動産会社や司法書士・弁護士に確認しましょう。

共有物分割請求で共有を解消するメリットは、自由度が増す点です。現物分割した場合は、売却・賃貸・建築などを自分の意志だけで決められます。代償分割で不動産を所有した場合も同じです。

換価分割や代償分割で不動産を所有しなかった場合、不動産は手放すことになりますが、手元に金銭など別の資産が残る点がメリットになります。

デメリットとしては、現物分割することで土地の形状が変形すると、不動産の価値が下がる可能性があります。代償分割や換価分割も、その後の不動産価値の変動によっては、損するケースがあるのです。

上述した通り、共有持分の売却を共有者に反対された場合の対処法として、「自分の共有持分だけを売却する」という方法を挙げました。この方法についてのメリット・デメリットなどを解説していきます。

自分の共有持分だけを売却するメリットは、自分の意志だけで売却できる点です。ほかの共有者が同意しなくても売却できます。

デメリットは、一部の持ち分だけ購入する人は極めて少ないため、売却が困難である点です。例えば、一戸建ての持分割合が、兄と自分で1/2ずつだったとします。自分が持っている1/2の持分割合だけ売却するということは、購入者からすると赤の他人である「兄」と一戸建てを共有することになり、購入者の意志だけで不動産を売却したり、居住したりできません。

このように、持分割合の一部だけ購入しても、購入者のメリットが小さいため売却が困難なのです。これは土地にも同じことが言えます。

実際、自分の共有持分だけを売却するのは難しいため、不動産会社に買い取ってもらうケースが大半です。ただ、不動産会社においても、ほかの共有者と協議し「その不動産を活用できる」と判断できた場合にのみ、買い取ると考えておいたほうがよいでしょう。

例えば、ほかの共有者の持ち分も買い取って転売したり、賃貸物件にして共有者と利益を折半したりできるようであれば、買い取ってもらえる可能性はあります。そのため、不動産会社と交渉するときには、共有者を交えて交渉することがポイントです。

自分の共有持分だけを売ることは可能ですが、共有者が同意していない状態だと、買い取る側にはリスクがあります。売却したいのであれば、対応を複数の不動産会社に相談してみることがおすすめです。

(記事は2020年10月1日時点の情報に基づいています)

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