目次

  1. 1. 税制改正大綱をもとに、翌年度の税制が決まる
  2. 2. 最初に目を通しておきたい「税制改正大綱の概要」
  3. 3. カテゴリーから自分と関係のある情報をリサーチ
  4. 4. 細かいルールは実際の法案や国税庁の情報で確認する

税制改正は毎年行われますが、多岐にわたる法改正が同時にされることから、私たちに関係する情報を調べるのは大変です。こうした時に役立つのが「税制改正大綱」です。毎年12月に閣議決定される「税制改正大綱」を見ることで、税制改正の大きな流れをつかみ、自身に関係のある情報を見つけ出すことができます。今回は、税制改正大綱の意味や、その見方について元国税専門官が解説します。

税制改正大綱とは、各省庁からあがる税制改正の要望などを受け、与党の税制調査会が中心となって翌年度以降の税制改正の方針をまとめたものです。税制改正大綱は、いわば税制に関する法律改正のたたき台であり、毎年12月中に翌年度分の税制改正大綱が閣議決定されることになっています。

その後、税制改正大綱をもとに法案が作成され、翌年2月に改正法案が国会で審議されます。この法律が3月に成立し、4月から新しい税制が施行されるのが一連の流れです。

閣議決定された税制改正大綱は、財務省のホームページで公開されています。ここで毎年12月に公開される最新の税制改正大綱を見ると、翌年度の税制がどのように変わるのかを調べることができます。

しかし、テキストベースで100ページを超える膨大な資料のため、すべてを読み通すのは大変かもしれません。そこで、税制改正大綱そのものを見る前に、まずは「税制改正の大綱の概要」(以下「税制改正大綱概要」)」に目を通すことをお勧めします。税制改正大綱概要には、4ページほどで税制改正大綱のダイジェストがまとめられており、税制改正の大まかな趣旨や、とくに重要な改正情報を把握することができます。

次に、税制改正大綱を見るときのポイントとして、カテゴリーを参考にしながら情報を探すというものが挙げられます。税制改正大綱では、以下のように情報が分けて記載されています。

・個人所得課税
・資産課税
・法人課税
・消費課税
・国際課税
・納税環境整備
・関税

このうち、もっとも私たち個人の生活に関連しやすいのが、「個人所得課税」です。こちらは所得税や住民税に関する改正情報が出ており、たとえば「平成31年度税制改正の大綱の概要」を見ると、「住宅ローン控除」や「ふるさと納税」「住民税の非課税措置」などが記載されています。

また、相続税や贈与税に関する情報を調べたいときは、「資産課税」のカテゴリを見てみましょう。相続税の計算や、生前贈与などに関する改正事項は、ここから把握することができます。

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今回の記事で紹介したように、税制改正のポイントを知るうえでは、税制改正大綱を見るだけでも十分ですが、より詳しく改正内容を知るには、実際に改正され、施行された法律を確認しなくてはなりません。

たとえば、新たな税金のルールが税制改正大綱に示されていたとしても、その具体的な計算方法や、提出すべき書類などの情報までは記載されていません。こうした情報について知るには、実際に法律や施行令、施行規則が施行されるまで待つ必要があるのです。

したがって、まずは税制改正大綱で気になるトピックをピックアップして、その後、国税庁が公開するホームページやパンフレットの情報から詳細な改正内容を確認すると良いでしょう。

(記事は2019年12月1日時点の情報に基づいています)