目次

  1. 1. 弁護士に依頼を断られることはある?
  2. 2. 弁護士に依頼を断られる主な理由
    1. 2-1. 多忙である
    2. 2-2. 対応できる範囲を超えている
    3. 2-3. 勝ち目のない案件だと判断している
    4. 2-4. 費用倒れの可能性が高いと判断している
    5. 2-5. 利益相反に該当する(相手方からすでに相談を受けているなど)
    6. 2-6. 信頼関係を築くのが難しいと感じている
  3. 3. 弁護士に断られた場合に、自力で法的トラブルに対処することのリスク
    1. 3-1. 知識不足により、不適切な対応や合意をしてしまう
    2. 3-2. 建設的な話し合いができず、時間を浪費する
    3. 3-3. 感情的な対立が激しくなり、大きなストレスがかかる
  4. 4. 弁護士に依頼を断られた場合の対処法
    1. 4-1. 別の弁護士を探す
    2. 4-2. 自分にとって有利な証拠を集める
    3. 4-3. 法テラスを利用する
  5. 5. 費用をかけてでも弁護士に依頼するメリット
    1. 5-1. 法的な観点から、解決に向けた方法や見通しを示してもらえる
    2. 5-2. 相手方との交渉や裁判手続きなどを適切に進めてもらえる
    3. 5-3. 労力やストレスが大幅に軽減される
  6. 6. 弁護士を選ぶ際の注意点
    1. 6-1. 複数の弁護士に相談して比較する
    2. 6-2. インターネット上の情報を鵜呑みにせず、実際に弁護士に会ってみる
    3. 6-3. 自分にとって都合の悪い事情も、正直に弁護士へ伝える
    4. 6-4. 弁護士との信頼関係を壊さないように注意する
    5. 6-5. 自分が相談したい内容について精通しているか確認する
  7. 7. 弁護士に断られるケースについてよくある質問
  8. 8. まとめ 依頼内容や相談者の態度などによっては、弁護士に断られる場合がある

弁護士は、法律に関するトラブルなどの相談を受け付けています。費用を払って正式に依頼すれば、トラブルの解決に向けた対応を行ってもらえます。

しかし、弁護士への依頼を希望しても、必ずその依頼を受けてもらえるとは限りません。弁護士は、受任する案件を選ぶことができるとされているからです。

弁護士の状況や相談の内容によっては、依頼を断られてしまうこともあるのでご注意ください。

弁護士に依頼を断られてしまう主な理由としては、次の例が挙げられます。

弁護士が多忙であるため、新しい案件を受ける余裕がないというケースはよく見られます。特に、弁護士が著名で人気のある場合や、事務所の規模が小さい場合などには、多忙のために依頼を断られてしまうことが少なくありません。

受任件数が弁護士のキャパシティを超えると、適切な事件処理ができなくなってしまいます。そのため、多忙な弁護士が依頼を断ることはやむを得ないといえるでしょう。

弁護士の得意分野や注力分野は、人によって異なります。幅広い案件を取り扱っている弁護士がいる一方で、取り扱う案件の範囲を絞っている弁護士もいます。

たとえば、企業法務案件だけを取り扱っている弁護士に対して、離婚や交通事故などの相談をしても、受けてくれる可能性は低いでしょう。

また、弁護士の能力や経験が及ばない案件については、責任ある対応ができないために依頼を断る弁護士もいます。たとえば金融に関する案件など、高度な専門性を有する内容の依頼をしても、弁護士によっては経験不足を理由に断られてしまうかもしれません。

勝ち目がないと思われる案件については、費用をかけて弁護士に依頼しても利益を得られる可能性が低いです。

弁護士は相談を受けた時点で、勝ち目があるかどうかの見通しを立てています。その結果、勝てる可能性が低いと判断した場合は、依頼を受けても本人のためにならないので、その旨を伝えて依頼を断るのが弁護士として適切な対応といえます。

弁護士費用よりも、依頼によって得られる利益のほうが少なくなってしまう状態を「費用倒れ」といいます。たとえば、50万円の弁護士費用をかけて損害賠償請求を依頼したものの、30万円しか回収できなかった場合は費用倒れです。

費用倒れの可能性が高い場合は、少なくとも経済的には、弁護士に依頼するメリットがありません。この場合、弁護士は相談者にその旨を伝えて、依頼を断るケースが多いです。

もっとも、相談者に以下のような強い希望がある場合は、費用倒れが見込まれても依頼を受けるケースがあります。

  • 納得できるまで争いたい
  • 費用倒れの可能性が高くても対応してほしい
  • 面倒な手続きを任せたい

依頼を受けることで、相談者と別の依頼者などの間で利害が対立する状態を「利益相反」といいます。たとえば、相手方からすでに相談を受けている場合や、相手方が弁護士の近しい親族である場合などが該当します。

利益相反が生じるときは、利害が対立する者の双方から同意を得たなどの例外的なケースを除き、弁護士は後から相談を受けた側の依頼を受けることができません

なお、同じ法律事務所に所属する他の弁護士との間で利益相反が生じる場合も、原則として依頼を受任できません。ただし、職務の公正を保てる特別な事情がある場合は例外とされています。

弁護士が適切に事件処理を進めていくためには、依頼者との間に信頼関係を築くことが重要です。信頼関係がなければ、重要な情報が共有されなかったり、嘘をつかれたりするおそれがあるためです。

弁護士は相談を受けた段階で、相談者との間に信頼関係を築けるかどうかを見極めています

たとえば、「不誠実な態度をとる」「うそをつく」「弁護士を見下すような言動をする」「自分に都合のよいことばかりを言って話を聞く耳を持たない」といった様子が見られると、信頼関係の構築が難しいとして依頼を断られることがあります。

弁護士に依頼を断られた後、自力でトラブルを解決しようとする人もいます。しかし、自力で法的トラブルに対処する場合は、次に挙げるリスクを伴うので注意が必要です。

法律について十分な知識を持たない状態で対応すると、不適切な行動や言動によって状況を悪化させてしまうおそれがあります。また、知識不足につけ込まれて、相手方との間で不利な合意をしてしまうケースもあります

このような事態を防ぐためには、弁護士のサポートを受けながら法的検討を行うことをおすすめします。

弁護士に頼らず話し合いを進めようとする場合によくあるのが、論点の整理が適切に行われず、議論がかみ合わなくなってしまうケースです。双方が言いたいことをぶつけ合うだけになり、話し合いがなかなか進展しないことがよくあります

議論が進まないと感じたときは、弁護士に依頼して論点を整理してもらった方が、結果的に早く解決しやすくなります

トラブルの解決に向けて相手方と話し合うのは、大きなストレスを伴う作業です。特に、相手方から厳しいことを言われたり、敵意や強い感情を向けられたりすると、精神的な辛さを感じる場面も多くなるでしょう。

相手方と直接向き合うことに強いストレスを感じているなら、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に依頼を断られたときは、その理由に応じて次の方法を検討してください。

弁護士の多忙や対応範囲外であることを理由に依頼を断られたときは、別の弁護士を探してみましょう。勝ち目がない、費用倒れになりそうなどの理由で依頼を断られた場合も、別の弁護士なら受任してもらえることがあります。解決できるかどうかの見立ては、弁護士によって異なる場合があるためです。

1人の弁護士に断られたからといって、すぐに自力でトラブルを解決しようとするのは早計です。少なくとも2、3人の弁護士には連絡してみましょう

自分の主張を補強する証拠が十分に揃っていない場合、弁護士は勝ち目がない、費用倒れになりそうといった理由で依頼を断りやすくなります。

反対に、自分にとって有利な証拠を揃えることができれば、弁護士に依頼を受けてもらえる可能性が高まります。断られた際には見せていなかったものも含めて、自分にとって有利な証拠をできる限り集めたうえで、改めて弁護士に相談してみましょう

収入と資産の額が一定水準以下である人は、法テラスを通じて弁護士に依頼することができます。

法テラスを利用する場合、弁護士費用の額が一般的な水準よりも安くなります。また、法テラスに弁護士費用を立て替えてもらえるほか、生活保護受給者は立替金の返済が免除されることがあります。通常は費用倒れが確実でも、法テラスを利用すれば採算がとれるケースもあるでしょう。

ただし、法テラスを通じて依頼できるのは、法テラスと契約している弁護士のみです。弁護士に相談する際、法テラスが使えるかどうかを確認してください。

法的なトラブルを抱えているときは、費用倒れになることが明らかな場合などを除き、弁護士に依頼することをおすすめします。トラブルの解決を弁護士に依頼することの主なメリットは、次のとおりです。

弁護士に依頼すると、実際の状況を法的な観点から分析し、解決に向けた適切な方法や、結果の見通しなどを示してもらえます。何から手を付ければよいか分からなかった状況でも、やるべきことが分かり、解決への道を着実に歩み出すことができるでしょう。

トラブルの解決に向けて、相手方との交渉や調停・訴訟などの裁判手続きを行う際には、専門的な法律知識や適切な対応が必要不可欠です。

法律の専門的知識を有する弁護士に依頼すれば、法的な根拠に基づいた交渉ができ、自分にとってより有利な条件を引き出せる可能性が高まります。相手方の不合理な主張に惑わされることもなくなり、より適切な条件で解決できる可能性も高まります。

自分でトラブル対応を行う場合に比べて、労力やストレスが大幅に軽減される点も、弁護士に依頼する大きなメリットの一つです。日常生活や仕事にまで疲れやストレスの影響が及んでいる場合には、早めに弁護士へ依頼することをおすすめします。

依頼する弁護士を選ぶに当たっては、次に挙げるポイントに留意してください。無料相談などを利用して、信頼できる弁護士を探すことが大切です。

能力や得意分野、性格や費用などは弁護士によって異なります。複数の弁護士を比較して、信頼できる弁護士を探しましょう。

どの弁護士が自分に合っているかは、実際に弁護士と会って話さなければ分かりません。インターネット上の情報だけを参考にするのではなく、無料相談などを利用して弁護士に相談してみましょう

弁護士に相談する際には、依頼したいことについての事情を、できる限り具体的に詳しく話すことが大切です。

自分にとって都合が悪い事情があるとしても、それを隠してはいけません。重要な事実が隠されていると、弁護士は適切に対応することができないためです。嘘や隠し事をせず、知っていることをすべて正直に弁護士へ伝えてください。

弁護士に「信頼できない人」だと思われると、依頼を受けてもらえない可能性が高いです。依頼した後でも、信頼関係が崩れたと弁護士が判断すれば、途中で辞任されてしまうおそれがあります。

弁護士に相談する際は、良い信頼関係を築けるような振る舞いを心がけましょう。乱暴な言葉遣いや他人に対する口汚い侮辱などは避けるべきです。弁護士から連絡が来たら速やかに返信しましょう。

自分の言いたいことや希望を伝えるのは問題ありませんが、弁護士のアドバイスにはきちんと耳を傾けるようにしてください

抱えているトラブルについてよりよい解決を得るためには、そのトラブルを含む分野に精通している弁護士に依頼するのが安心です。たとえば相続について悩んでいるときは、相続を豊富に取り扱っている弁護士への依頼をおすすめします。

得意分野や実務経験の程度は、弁護士によって異なります。公式ウェブサイトや弁護士ポータルサイトの情報に加えて、実際に会った際のアドバイスや印象なども参考にし、十分な対応能力を有していると判断できる弁護士に依頼してください。

Q. 最初の無料相談を申し込んだ時点で断られるケースはある?

弁護士が多忙である場合や、相談内容が受任に適さないと弁護士が判断した場合には、無料相談を申し込んだ時点で断られることもあります。

Q. 「赤字になっても構わないのでお願いしたい」と伝えれば、弁護士に引き受けてもらえる?

いわゆる「費用倒れ」の可能性が高い場合に、依頼を受けてもらえるかどうかは弁護士によって異なります。

一般的には、費用倒れの可能性が高い依頼は断られやすいです。しかし、どうしても依頼を受けてほしい事情を丁寧に説明すれば、受け入れてもらえる可能性もあります。もし依頼を断られたときは、他の弁護士にも相談してみましょう。

Q. 依頼を断られた際、別の弁護士を紹介してもらうことは可能?

別の弁護士を紹介してもらえるケースも、紹介してもらえないケースもあります。

たとえば、多忙や対応範囲外であるために自ら受任はできないものの、相談内容自体は適切で弁護士がサポートすべきと思われる場合は、別の弁護士を紹介してもらえることが多いです。これに対して、相談内容自体が受任に適さないと思われるときは、別の弁護士を紹介してもらうこともできない場合があります

弁護士への依頼を希望していても、必ず依頼を受けてもらえるとは限りません。弁護士の忙しさや相談内容などによっては、依頼を断られることもあります。

もし弁護士に依頼を断られたら、他の弁護士にも相談してみましょう。複数の弁護士に相談することは、抱えているトラブルについて正確な知識や見通しを得るためにも役立ちます。

(記事は2026年8月1日時点の情報に基づいています)