目次

  1. 1. 土地と建物の名義が違う原因
    1. 1-1. 親名義の土地に子どもが建物を建てた
    2. 1-2. 親名義の土地に親子の共有名義で建物を建てた
    3. 1-3. 相続登記をしないまま建物を建てた
    4. 1-4. 被相続人が貸していた土地に借主が建物を建てた
    5. 1-5. 被相続人が借りていた土地に建物を建てた
    6. 1-6. 夫婦で建物と土地をそれぞれ別名義にした
  2. 2. 土地と建物の名義が違うことでよくあるトラブル
    1. 2-1. 高額な贈与税や相続税が課せられた
    2. 2-2. 立ち退きを要求された
    3. 2-3. 建物の解体や土地の返還を求められた
    4. 2-4. 地代の支払いを求められた
    5. 2-5. 固定資産税の支払いが複雑になった
    6. 2-6. 遺産分割協議が複雑化した
    7. 2-7. 相続した不動産を売却できなかった
  3. 3. 土地と建物の名義が違うことで生じるトラブルを避ける方法
    1. 3-1. 売却や贈与などをおこない名義を統一する
    2. 3-2. 建物を解体して更地にする
    3. 3-3. 借地契約やルールを明確に設定する
  4. 4. 名義が一致しない土地と建物を売却する方法
    1. 4-1. 異なる名義のまま土地と建物を同時売却する
    2. 4-2. 土地と建物の名義を統一してから売却する
    3. 4-3. 土地と建物を別々の買主に売却する
  5. 5. 土地と建物の名義が違うことに関するよくある質問
  6. 6. まとめ|名義が違う土地と建物の売却でお困りの際は専門の買取業者にご相談を

土地と建物の名義が異なる原因には、親名義の土地に子どもが建物を建てるケースや、相続登記を行わないまま建築を進めてしまうケースなど、さまざまな背景があります。

ここからは、代表的な具体例を詳しくご紹介します。

建物は子ども名義で土地は親名義であることを示した図解。相続が発生した際に、建物の名義人である子どもとは別の相続人が土地を相続した場合、両者間でトラブルに発展する可能性がある
建物は子ども名義で土地は親名義であることを示した図解。相続が発生した際に、建物の名義人である子どもとは別の相続人が土地を相続した場合、両者間でトラブルに発展する可能性がある

土地と建物の名義が違う原因としてよくあるのが、親名義の土地に子どもが建物を建てたというケースです。この場合、土地の名義人は「親」、建物の名義人は「子ども」になります。このケースでは親子間の強い信頼関係で結ばれているため、名義の不一致によるトラブルは生じにくい傾向です。

ただし、親が亡くなって相続が発生した際に、建物の名義人である子どもとそれ以外の相続人との間でトラブルに発展する可能性があります。とくに親名義の土地は、遺言書による指定がない限り、他の相続財産と同様に遺産分割が完了するまで相続人全員の共有状態となります

建物の名義人である子どもが親名義の土地を優先的に相続できるというルールはありません。そのため、土地を誰がどのように相続するのかについては、原則として相続人全員で話し合って決めることになります。

ここで建物の名義人である子どもが親名義の土地を単独で相続できれば、土地と建物の名義を統一できるため、将来的な名義の不一致によるトラブルのリスクからも解放されます。しかし、土地を他の相続人が単独名義で相続したり、複数の相続人の共有名義で相続したりした場合は、土地と建物の名義が異なる状態が続いてしまいます。

そうなると、将来的に土地の新たな名義人から賃料の支払いや立ち退きを要求されるなど、名義の不一致によるトラブルに発展する恐れがあります。

建物は親と子どもの共有名義で土地は親名義であることを示した図解。土地と建物の名義の不一致によるトラブルと共有名義によるトラブルの二重のリスクを抱えている
建物は親と子どもの共有名義で土地は親名義であることを示した図解。土地と建物の名義の不一致によるトラブルと共有名義によるトラブルの二重のリスクを抱えている

親名義の土地に親子の共有名義で建物を建てたことで、土地と建物の名義が異なってしまうケースもあります。この場合、土地の名義人は「親」、建物の名義人は「親と子ども」になります。

このケースも「親名義の土地に子どもが建てたケース」と同様に、親が健在であれば比較的トラブルは生じにくいです。しかし、親が亡くなり相続が発生した際に建物の名義人である子どもとそれ以外の相続人との間でトラブルが生じるリスクがあります。

さらに、建物が親子の共有名義である場合は、親が保有する建物の共有持分も遺産分割の対象となるため、他の相続人が新たな共有者となる可能性があります。仮に建物を複数の相続人で共有することになった場合、以下のような共有名義ならではのトラブルが新たに生じる恐れがあります。

  • 建物全体の売却やリフォームなどを行う際に必要な合意が得られない
  • 持分割合に応じた賃料を請求される
  • 共有物分割請求訴訟を起こされ、建物を競売にかけられてしまう
  • 他の共有者が共有持分を勝手に売却し、見知らぬ第三者との共有状態になる

 このケースは、「名義の不一致によるトラブル」と「共有名義によるトラブル」の二重のリスクを抱えていることになります。そのため、土地と建物がそれぞれ単独名義である場合と比較して権利関係のトラブルが複雑化しやすい傾向です。

建物は子ども名義で土地は亡くなった親名義のままであることを示した図解。相続登記をしなければ、登記簿上の土地の名義人は故人のままであるため、相続人は土地の正式な所有者であることを公的に証明できない
建物は子ども名義で土地は亡くなった親名義のままであることを示した図解。相続登記をしなければ、登記簿上の土地の名義人は故人のままであるため、相続人は土地の正式な所有者であることを公的に証明できない

相続した土地を相続登記せず、相続人が自己名義でその土地に建物を建ててしまい、結果として土地と建物の名義が異なるケースも存在します。たとえば、父親名義の土地を相続し、それを相続登記しないまま子どもが建物を建てた場合、土地の名義人は「父親」、建物の名義人は「子ども」になります。

相続登記は2024年4月1日から法律で義務化されましたが、それ以前は任意であったため、未登記のまま相続人が自己名義で建物を建てたというケースも少なくありません

しかし、相続登記をしなければ登記簿上の土地の名義人は故人のままであるため、相続人は土地の正式な所有者であることを公的に証明できません。土地の売却や、銀行からの融資(抵当権設定)を受けるには、相続登記が必須です。

また、賃貸契約を結ぶ際も、相続登記をしていないと正式な所有者であることを証明できないため、契約を断られるケースやトラブルになる可能性があります。

建物は土地の借主名義で土地は被相続人が生前に貸していた土地の相続人名義であることを示した図解。相続によって土地の所有権が移転すると、被相続人と借主との間で締結していた借地契約も原則として相続人に引き継がれる
建物は土地の借主名義で土地は被相続人が生前に貸していた土地の相続人名義であることを示した図解。相続によって土地の所有権が移転すると、被相続人と借主との間で締結していた借地契約も原則として相続人に引き継がれる

被相続人(亡くなった人)が貸していた土地に借主が建物を建てた場合、土地の名義人は「相続人」、建物の名義人は「借主」となります。相続によって土地の所有権が相続人に移転すると、被相続人と借主との間で締結していた借地契約もその相続人に引き継がれるのが基本です。

以下の表で、代表的な借地契約の種類とその特徴をまとめました。

借地契約の種類 契約期間 契約更新後の契約期間
旧法の借地法 ・木造:最低20年から30年
・鉄骨造や鉄筋コンクリート:最低30~60年
非堅固建物(木造など):20年
堅固建物(RC造・鉄骨造など)30年
普通借地権 建物の構造に関係なく30年 ・1回目:20年
・2回目以降:10年
定期借地権 50年以上 契約の更新はなし
期間満了で終了
事業用定期借地権 最低10年以上50年未満 契約の更新はなし
建物譲渡特約付借地権 30年以上 契約満了後、貸主が建物を買い取る

借地契約が存続している間、その相続人は土地の所有者であっても土地を自由に活用できませんが、借主から地代や更新料を受け取ることが可能です。また、借地権の種類が定期借地権である場合は、借地契約が満了した後に借主から土地を返還してもらえるため、返還後は土地を自由に活用できるようになります。

一方、相続した土地に普通借地権や旧借地権が設定されていた場合は、借地契約が満了した後も借主が契約更新を拒絶しない限り、借地契約は自動的に更新されます

借地借家法上の正当事由がない限り、地主から一方的に借地契約を解約・更新拒絶することはできないため、いつ土地を自由に活用できるのか分からないというデメリットがあります。

建物は被相続人が建てた家の相続人名義で土地は貸主名義であることを示した図解。生前、被相続人が有していた借地権も原則として相続人に引き継がれる
建物は被相続人が建てた家の相続人名義で土地は貸主名義であることを示した図解。生前、被相続人が有していた借地権も原則として相続人に引き継がれる

被相続人が借りていた土地に相続人が建物を建てた場合、土地の名義人は「貸主」、建物の名義人は「相続人」となります。建物はもちろん、地主から土地を借りてその上に建物を建てる権利である「借地権」も相続人にそのまま引き継がれるため、相続人は地主の許可を得なくても相続した建物に住めるのが特徴です。

しかし、借地契約が存続している間は、地主に対して地代や更新料を支払う義務が生じます。また、地主から被相続人が滞納していた地代の支払いや立ち退き、土地の返還などを迫られ、トラブルに発展するケースも少なくありません。

夫婦で建物と土地それぞれを別名義にしたことを示した図解。離婚の際に複雑なトラブルを引き起こすリスクがある
夫婦で建物と土地それぞれを別名義にしたことを示した図解。離婚の際に複雑なトラブルを引き起こすリスクがある

夫婦で不動産を購入した際、「建物の名義は妻、土地の名義は夫」というように、それぞれ別名義で登記するケースも少なくありません。夫婦で建物と土地を別名義にする代表的なケースは以下の通りです。

  • 建物を妻、土地を夫が購入し、それぞれ単独名義で登記した
  • 夫が相続した土地の上に、夫婦共有名義の建物を建てた
  • 離婚時の財産分与で、夫名義の建物を妻がもらった(土地は夫名義のまま)

夫婦で建物や土地を別名義にした場合、夫婦関係が良好であれば比較的トラブルは生じにくいですが、離婚することになった時に複雑なトラブルを引き起こすリスクがあります。

別名義のまま離婚すると、不動産活用や処分の方針、維持管理費用の負担、住宅ローンの返済などについて元配偶者と話し合いや連絡をやり取りする必要性があるため、離婚後も完全に関係が切れません。

土地と建物の名義が異なると、双方の所有者との間で金銭面や立ち退きなどに関するトラブルが生じたり、遺産分割協議の手続きが複雑化したりする恐れがあります。ここからは、土地と建物が違うことでよくあるトラブル事例をご紹介します。

借りた土地に自分の建物を建てている場合、状況によっては建物の所有者に多額の税金が課せられるケースもあります。

ここからは、どういった場合に高額な税負担が発生するのかについて解説していきます。

【無償で土地を借りているケース】
親族間でよくあるケースですが、地代や権利金を支払わず土地を無償で借りている場合は、法律上「使用貸借契約」に該当します。この場合、借主に贈与税はかかりません。なぜなら、法律上、使用貸借に関わる権利の価値は0円として扱われているためです。

ただし、このケースには将来の相続税が高くなるリスクがあります。無償で貸している土地は、生前の貸主(親)が自由に使えていた土地とみなされるため、相続税評価額が減額されません。そのため、いざ相続が発生した際に、土地の評価額が高くなり、結果として高額な相続税を負担する可能性があります。

【相場より安い地代で土地を借りているケース】
地代を支払って土地を借りている場合でも、その金額が相場より安ければ、税務上は「使用貸借」とみなされ、贈与税はかかりません。

このケースで注意すべきなのは「借地権の認定課税」です。

通常、土地を借りて建物を建てる際は、地主に多額の「権利金」を支払う慣習があります。ただ、親族間だからといってこの権利金を支払っていない(または著しく低い)場合、その権利金の相当額を地主から贈与されたとみなされ、借地人に高額な贈与税が課せられるリスクがあるのです。

また、安い地代を支払っていても、税務上の評価減(貸宅地評価)が受けられないことが多く、結果として「無償で借りているケース」と同様に、将来の相続税が高くなってしまうトラブルも頻発しています。

【名義を揃えるために土地を贈与したケース】
相手から土地を贈与されたケースでは、受贈者に土地の評価額分の贈与税が課せられます。たとえば、親が評価額3000万円の土地を18歳以上の子どもに贈与した場合、子どもが支払う贈与税額は以下のようになります(贈与税の計算と税率|国税庁)。

  • 3000万円(土地の評価額)-110万円(贈与税の基礎控除額)=2890万円(課税対象額)
  • 2890万円(課税対象額)×45%(特例贈与の税率)-265万円(控除額)=1035万5000円(贈与税額)

土地の評価額は数千万円以上にのぼるケースも珍しくないため、贈与税も高額になりやすく、受贈者に大きな負担がかかるリスクがあります。

建物が自分名義で、土地が別人の名義である場合は、地主から立ち退きを要求される可能性があります。借地契約が存続している間は、原則として地主の一方的な都合による立ち退き要求に応じる義務はありません。しかし、以下のようなケースでは立ち退き要求が法的に認められる場合もあります。

  • 定期借地契約が満了した場合
  • 借地人に重大な債務不履行があった場合(地代の滞納や無断転貸など)

土地に設定されているのが「定期借地権」である場合、契約期間が満了すると更新できず、借地権の消滅に伴う土地の返還義務が生じるため、立ち退き要求にも応じざるを得ません。

また、借地人に重大な債務不履行があった場合や、地主側に土地を使用するやむを得ない事情がある場合は、借地契約の中途解約・満了後の更新拒絶の正当な事由として認められる可能性があります。

中途解約・更新拒絶が認められた場合も、借地権の消滅に伴う土地の返還義務が生じるため、結果として立ち退きも必要になります。

建物の解体や土地の返還についても、地主から要求されたからといって必ず応じる必要はありません。しかし、以下のようなケースでは、原則として建物所有者には建物の解体や土地の返還要求に応じる義務が生じます。

  • 定期借地契約が満了した場合
  • 借地人の重大な債務不履行により、借地契約が解除された場合
  • 使用貸借契約が満了・中途解約となった場合

前述した通り、借地権の種類が「定期借地権」である場合、契約が満了した後は必ず借りた土地を地主に返還しなければなりません。土地を返還する際には、民法上の原状回復義務に基づき、原則として建物を解体して更地にする必要があります。

借地契約が続いている間は、地主が正当な理由なく契約を解除できないため、建物の解体や土地の返還にも応じる必要はありません。しかし、長期間にわたる地代の滞納や無断転貸など、借地人の債務不履行があった場合は、それを正当事由として中途解約が認められる可能性があります。

借地契約が消滅した場合、建物の所有者は原則として建物を解体してから土地を地主に返還しなければなりません。ただし、借地権の種類が「普通借地権」や「旧借地権」である場合、一定の要件を満たしていれば、借地人は地主に対して「建物買取請求権」を行使できます

建物買取請求権とは、借地人が地主に対して借地上の建物を時価で買い取るように請求できる権利です。建物買取請求権が適切に行使されれば、土地を返還する際に建物を解体する必要はありません

被相続人が借りていた土地に建物を建てていた場合、相続人は建物と一緒に借地契約も引き継ぐため、借地契約が続いている間は地主に対して地代を支払う必要があります。被相続人が地代を滞納していた場合は、滞納分も相続対象になるため、相続人が支払い義務を負うことになります。

地代を支払わずにそのまま放置した場合は、支払督促や裁判などの法的手続きを取られ、最終的には強制執行によって財産を差し押さえられる可能性があります。また、地代の滞納期間が3カ月以上に及ぶと、地主と借地人との信頼関係が崩壊したとみなされ、地主から借地契約を解約されてしまうリスクも高いです。

仮に中途解約となった場合、借りていた土地を利用する権利である借地権が消滅するため、地主に土地を返還する義務が生じます。建物買取請求権も、借地人の債務不履行による中途解約では行使できないのが基本であるため、土地を返還する際は原則として建物を解体しなければなりません。

土地と建物の名義が異なると、固定資産税の支払いが複雑になるリスクもあります。固定資産税は不動産ごとに課される税金で、納税義務は毎年1月1日時点の不動産の所有者に課されるのが基本です。

土地と建物の名義が異なるケースでは、土地に課される固定資産税は土地の名義人、建物に課される固定資産税は建物の名義人に納税義務があります。ただ、これはあくまで法的な原則であって、実際は代表者が土地と建物の固定資産税をまとめて支払い、後でお金を徴収するというケースも珍しくありません。

しかし、代表者がまとめて支払う方法だと、「建物が建っていて土地を利用できないから固定資産税を支払いたくない」「建物の所有者が固定資産税を滞納している」など、固定資産税の支払いを巡ってトラブルが生じる恐れがあります。

特に土地や建物が共有名義である場合は、共有者全員に納税義務があるため、徴収の手間や支払いを巡るトラブルのリスクが増大する傾向です。こうしたトラブルを防ぐためには、納税義務者全員と固定資産税の支払いルールについて話し合い、その内容を書面として残しておくことが重要です。

土地と建物の名義が違うと、名義人が亡くなって相続が発生した際、遺産分割協議が複雑化するリスクもあります。たとえば、父親名義の土地に長男名義の建物が建っていた場合、父親が亡くなって相続が発生すると、建物の名義人である長男とそれ以外の相続人との間で土地の相続を巡るトラブルが生じやすいです。

建物の所有者である相続人の立場からすれば、土地と建物の名義が異なることによるデメリットを解消するため、土地を単独名義で相続したいと考えるでしょう。しかし、その場合は他の相続人から以下のような不満が生じやすくなります。

  • 長男の建物が建っているという理由だけで、長男が土地も相続するのは納得がいかない
  • 地代を支払わずに土地を借りていたことは特別受益(生前贈与)に該当するから、長男の相続分から差し引かれるべきだ
  • 長男が土地を相続するなら、その土地に見合う代償金を他の相続人に支払うべきだ

とくに、名義が異なる土地や建物が相続財産の大半を占めている場合や、他の相続人に代償金を支払う余裕がない場合は、相続人全員が納得の行く形で遺産分割を実現するのが難しいケースが多いです。そのため、遺産分割協議が難航するリスクがあります。

権利関係や人間関係が複雑に絡むほど、遺産分割協議が複雑になりやすいため、土地と建物の名義が異なる場合は早めに弁護士に相談しておくことが望ましいです。

親から相続した不動産を相続登記しないと、将来的にその不動産を売却できないリスクがあります。相続登記をしなければ、実質的な所有者は子どもであっても、登記簿上の名義人は親のままです。このままの状態では、子どもは不動産の所有者であることを、不動産会社や買主などの第三者に主張できません

また、不動産登記は所有権の移転を順番通りに行う必要があるため、売却後に所有権移転登記を行う際、被相続人から買主に名義を直接移転させることはできず、現状の状態に合わせるまでに多くの手間がかかります。

こういった理由から、相続登記をしないまま相続した不動産を売却するのは事実上不可能です。相続した不動産を売却するためには、相続登記を行って登記簿上の名義人を相続人に変更しておく必要があります。

土地と建物の名義が違うことによるトラブルは、「土地と建物の名義を統一する」「建物を解体する」などして、名義の不一致を根本的に解消することで回避できます。

ここからは、土地と建物の名義が違うことで生じるトラブルを避けるための具体的な方法について解説していきます。

土地と建物の両方の名義を統一することで、名義の不一致によるトラブルの種を根本的に排除できます。名義を統一する方法は、以下の2通りがあります。

  • 建物の所有者が土地を購入もしくは贈与を受け、建物の所有者名義に統一する
  • 土地の所有者が建物を購入もしくは贈与を受け、土地の所有者名義に統一する

ただし、この方法は土地と建物の所有者双方に売買や贈与の意思があることが前提となります。売買による名義統一の場合は、土地や建物を購入するために数千万円規模の資金を確保する必要があるため、購入する所有者に相応の経済力がなければ成立しません。

無償贈与であれば購入資金を確保する必要はありませんが、贈与を受けた側は不動産の評価額分の贈与税が課されます。不動産は評価額が数千万円規模になる高額な財産であり、税率も高めに設定されているため、贈与税も高額になりがちです。

また、土地や建物は高額な財産であるため、親子間や夫婦間などの特別な関係である場合を除き、無償贈与に応じてもらえるケースはほぼありません。名義の統一は、名義が異なることによるトラブルへの対処法としてベストな選択肢ではありますが、実現するのは極めて難しいのが実情です。

土地と建物の名義が違うことによるトラブルを避ける方法として、建物を解体して更地にするという方法もあります。建物を解体して更地にした後、法務局で建物滅失登記を完了させれば、登記簿から建物に関する記録がすべて削除されます。

これにより、名義人は自動的に土地の所有者のみとなるため、土地と建物の名義の不一致が根本的に解消されます。ただし、建物を解体するためには、建物の所有者から同意を得なければなりません。建物を解体する費用は、建物の所有者が全額負担するのが原則です。

建物の所有者からしてみれば、高額な財産である建物を手放すことになるうえに、数百万円程度の解体費用も負担しなければならないため、建物の所有者から解体の同意を得るのは困難を極めるでしょう。また、建物を解体して更地にすることは、土地の所有者側にも以下のようなデメリットがあります。

  • 「住宅用地の特例」が適用されなくなることで、土地の固定資産税が最大6倍まで跳ね上がる可能性がある
  • 再建築不可物件である場合、解体後に新たな建物を建てられなくなってしまう

建物の解体は双方の所有者の負担やリスクが大きい方法であるため、関係者や専門家とよく話し合い、慎重に検討することが大切です。

名義の統一や建物の解体が難しく、名義の不一致を解消できない場合は、借地契約や使用ルールを明確に定めておくことが重要です。名義が違うことによるトラブルを防止するために設定すべき項目としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 借地契約や使用貸借契約の期間
  • 契約満了後の契約の継続について
  • 借地契約の地代や更新料などの金額や支払期限
  • 境界確認や測量が必要になった際の費用負担
  • 固定資産税の徴収方法や支払方法
  • 建物の増改築や売却の際の地主の承諾について
  • 地主が敷地に立ち入る際のルール
  • 契約終了時の原状回復義務、建物買取請求権の行使について
  • 契約解除に関する事項や禁止事項

契約内容やルールを明確に設定した後も、お互いに定期的にコミュニケーションを取り、良好な関係を保つことがトラブルを未然に防ぐためのコツです。ただし、名義の不一致という原因が根本的に解消されていないためトラブルを完全に防ぐことはできません

名義が違うことによるトラブルから完全に解放されたい場合は、土地と建物の名義を一本化するか、不動産自体を手放して権利関係を解消する必要があります。

不動産の管理や名義の不一致によるトラブルのリスクから完全に解放されたい場合は、土地や建物を売却することも検討してみましょう。名義が一致しない土地と建物を売却する方法としては、「名義が異なる土地と建物を同時に売却」「土地と建物の名義を統一させてから売却」「名義が異なる土地と建物を個別に売却」の3つがあります。

売却方法によって難易度や売却相場などが大きく異なるため、状況に応じた方法を選択することが重要です。

土地と建物が異なる名義のまま売却する場合は、双方の所有者が協力して土地と建物を同時に売却する方法がおすすめです。土地と建物を同時に売却すれば、買い手は土地と建物の両方を単独名義で取得できるため、異なる名義を一本化できます。

これにより、土地や建物の利用や売却、建物の増改築などが容易になり、名義が違うことによるトラブルのリスクからも解放されます。結果として一般の買い手が付きやすくなるため、土地と建物を別々に売却するよりも売却手続きがスムーズに進みやすく、市場価格とほぼ同等の価格での売却も期待できます。

ただし、同時売却をするには土地と建物の所有者全員の合意が必要になるため、1人でも反対する人がいる場合は成立しません。必要書類の作成や登記申請など売却に関連する手続きも複雑になりやすいため、専門知識を持つ不動産会社や司法書士に相談して慎重に進めることが大切です。

土地と建物の名義が一致しない場合、それぞれの名義をどちらか一方に統一してから売却する方法がもっとも一般的です。名義を統一するためには、売買や贈与などの取引を通じて土地の所有者が建物を取得するか、建物の所有者が土地を取得する必要があります。

名義を統一することで一般的な土地や建物と同様に売却できるため、一般の買い手が付きやすく、市場価格とほぼ同等の価格での売却も期待できます。ただし、先ほども説明したように、名義を統一するためには双方の所有者が名義の統一や売買・贈与に合意していることが前提です。

土地と建物の名義が異なっていても、それぞれを単独で売却することは可能です。他人名義の建物が建っている土地や他人名義の土地に建っている建物も、法律上ではそれぞれ独立した不動産として扱われます。

土地の所有者は、借地人の同意なく自由に土地を売却できます。一方、建物の所有者が建物を売却する場合、借地権の譲渡となるため、原則として地主の承諾が必要ですが、許可を得られれば売却は可能です。

ただし、この方法は非常に難しいことを覚えておきましょう。

なぜなら、他人の建物が建っている土地や他人の土地に建っている建物は、自由な利用が制限されているうえ、それぞれの所有者とのトラブルのリスクを永続的に抱えることになります。これらは安定した居住を求める人にとっては大きなデメリットとなるため、都市部の好立地など一部を除いては、一般の個人が居住用として買うことはほぼありません

また、借地権が設定されている土地の収益性は一般的な投資物件と比較して低い傾向にあるため、投資家からも購入を敬遠されてしまいがちです。主に一般の個人や投資家が買い手となる仲介では売却するのが困難であるため、現実的な売却先は専門の買取業者に絞られます

売却価格も一般的な土地や建物の市場価格と比較して、大幅に低くなる傾向にあります。まずは、名義を一致させてから売却するか、土地と建物の同時売却を検討し、それが難しいようであれば個別で売却することを検討してみましょう。

Q. 土地と建物の名義が異なる場合、売却相場は低くなりますか?

土地と建物の名義が異なる場合の売却相場は、土地と建物の売却方法によって大きく変動します。名義が異なる土地と建物を同時に売却する場合は、土地と建物の名義が統一された状態で買主に引き渡せるため、売却相場は一般的な土地や建物の市場価格とほぼ同等の価格です。

一方、名義が異なる土地と建物を別々に売却する場合、権利関係が複雑で自由な活用・処分が制限されることから、売却相場も市場価格と比較して大幅に低くなる傾向があります。

土地と建物の名義が異なることは、地主から地代の支払いや立ち退きなどを要求されたり、固定資産税の支払いや遺産分割協議が複雑化したりと、さまざまなトラブルのリスクがあります。これらのトラブルを避けるためには、名義の統一や建物の解体などによって、名義の不一致を解消する必要があります。

名義が違う土地や建物を売却したい場合は、名義を統一してから売却するか、双方の所有者が協力して土地と建物を同時に売却する方法が望ましいです。名義の統一や同時売却が難しく、仲介で売却できる見込みがない場合は、専門の買取業者に相談することを検討してみましょう。

(記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)

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