国内外の子どもに食事を グッドネーバーズ・ジャパンへの遺贈寄付でできること

遺贈寄付とは、遺言により遺産の全部または一部を特定の人や団体に無償で贈ることをいいます。国内外で子どもたちを支援する活動をおこなっている、認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(東京都大田区)には毎年、遺贈寄付の問い合わせが寄せられています。同事業を担当する細川もなみさんに活動内容や寄付金の活かし方について話を伺いました。
遺贈寄付とは、遺言により遺産の全部または一部を特定の人や団体に無償で贈ることをいいます。国内外で子どもたちを支援する活動をおこなっている、認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(東京都大田区)には毎年、遺贈寄付の問い合わせが寄せられています。同事業を担当する細川もなみさんに活動内容や寄付金の活かし方について話を伺いました。
目次
――グッドネーバーズ・ジャパンの活動内容を教えてください。
グッドネーバーズ・インターナショナルは1991年に韓国で設立され、世界40カ国以上で子どもの教育支援や人道・開発援助、緊急支援を実施する国際NGOです。グッドネーバーズ・ジャパンはその日本法人として2004年に設立され、子どもたちの心と身体を守るため、国内外で支援活動を行っています。
国内では子どもの貧困対策や災害時の緊急支援活動に取り組んでおり、アジアやアフリカの地域では教育や水、医療などの支援を行っています。最近では、能登半島地震の被災者支援、ウクライナやガザ地区への支援物資の配付や子どもたちの心のケアを行いました。
個人や企業による寄付や助成金などを活用し、貧困や差別、災害、紛争といった問題に取り組み、解決に向けた活動を続けています。
――遺贈された寄付金はどのような活動に使われているのですか。
遺贈いただいた寄付金は、国内外の子どもたちを支援する活動に活用しています。遺言書に「海外」「国内」「緊急支援」などの使い道が指定されている場合は、その分野の活動に使わせていただきます。指定がない場合は、グッドネーバーズ・ジャパンの活動全般に活用させていただきます。
これまでにも、遺贈された寄付金をさまざまな活動に役立ててきました。
開発途上国などには、家庭で十分な食事がとれないまま長時間かけて通学する子どもたちがいます。学校給食がない場合、空腹のまま授業に参加し、集中できず、栄養不足で病気になったり、学校を休んでしまうこともあります。そこで、安定して給食を提供できるよう、学校に給食施設を設置し、衛生環境を整え、食材を手配するなどの活動をおこなっています。
また、途上国で子どもの就学率が低い理由の一つに、親が教育の重要性を知らず、『学校に行くよりも家事を手伝ってもらいたい』と考えているケースがあります。しかし、給食があれば子どもを学校に通わせるようになることもあり、給食は栄養状態の改善だけでなく、教育を受ける機会の拡大にもつながっています。
――国内ではどのような活動に使われているのですか。
国内では、低所得のひとり親世帯を対象に、月に一度無料で食品を配付する「グッドごはん」という活動を行っています。
今、日本では、2世帯に1世帯のひとり親家庭が貧困というデータ もあります(「国民生活基礎調査」(2022年) )。私たちが2023年に行った調査によると、「グッドごはん」の利用者の約6割(58%)が年収200万円未満であることがわかりました。食費が足りず、親だけでなく、子どもの食事の回数が制限されるケースも少なくありません。特に、学校給食がない休日には、全体の約4割の子どもが1日の食事回数が2回以下だと答えています。
遺贈を含め、国内事業をご指定いただいた寄付金は、グッドごはんの食品調達、保管、配付のための運送費や人件費など事業の実施、拡大のために活用し、ひとり親家庭に食品を提供しています。貧困のために食事の回数を減らさざるを得ない子どもが、一人でも減ることを目指しています。
――遺贈寄付にはどのような手続きが必要ですか。
遺贈寄付を行うには「遺言書」を作成する必要があります。遺言書には主に「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の二種類があります。公正証書遺言は、公証役場で公証人と一緒に作成し、保管してもらいます。紛失や改ざんの心配がなく安全です。一方、自筆証書遺言は自分で書く方法ですが、書き方に誤りがあると無効になることもあります。そのため、私たちは「公正証書遺言」をおすすめしています。
当団体では、弁護士や税理士などの専門家と連携し、遺贈寄付に関する対応を行っています。迷われることや気になることがあれば、検討の段階でお気軽にお問い合わせ下さい。必要であれば、弁護士等の紹介もさせていただきます。
遺言書の内容や寄付金額については、財産の状況や家族構成によって異なるため、専門家に相談することで適切な手続きを進めることができます。
――どのような方が遺贈寄付をしているのですか?
グッドネーバーズ・ジャパンの活動に共感してくださり、生前から寄付をしてくださっていた方もいらっしゃいますし、遺贈寄付を通じて初めて私たちと接点を持つ方もいらっしゃいます。多くの方が「子どもの未来をよくしたい」という気持ちで、グッドネーバーズ・ジャパンの活動に遺贈寄付をしてくださいます。
2024年には、下記のような遺贈寄付がありました。
過去に「グッドごはん」を支援してくださっていた方が、「子どもたちの食支援に活用してほしい」と、インゴット(金地金)の寄付について遺言書に記しておられました。私たちはインゴットを換金した上で、子どもたちの食支援活動に使わせて頂きました。
遺言執行者の方とのやり取りの中で 、そのインゴットは寄付者の方が母親から譲り受けたものであり、 遺言書には「母が子ども好きだったため」と書かれていたことを知りました。
支援の思いが親子2代にわたって引き継がれたことに、私たちは大変感銘を受けました。身が引き締まる思いでした。
――親子2代で意志を受け継いだのですね。遺贈寄付は現金以外でもよいのですね。
はい。当団体は、現預金に加えて、不動産や有価証券の遺贈寄付についてもご相談をお受けしています。所有しているマンションを遺贈寄付したいというお問い合わせもいただいています。さきほどお話ししたように、インゴットで受け取ったケースもあります。
基本的には不動産・株式・有価証券・骨董品等の動産は、遺言執行者が現金化し、税金・諸費用を差し引いたうえでご寄付いただくようお願いしております。難しい場合は現物寄付も受け入れ、私たちが現金化させていただきます。ただし、売却が難しい不動産などについては、お断りする場合もあります。そのため、可能な限り事前にご相談いただけると大変助かります。
――遺贈寄付はいくらからできますか?
遺贈金額は、いくらからでも可能です。遺贈寄付は高額なものと思われがちで、「金額が少なくてもよいのか」「遺産がどの程度になるか分からない」といったお問い合わせをいただきますが、金額の下限はありません。
おいくらでも自由にご寄付いただければ、それが未来の世代の大きな力になります。
寄付金は金額を指定していただくことができます。でも、遺言を書いたあと、自分があと何年生きるかはわからないですし、今ある貯蓄がどれくらい残るか予想するのは難しいと思います。
そのような場合は、「遺産の2割を寄付する」といったように 「割合」をお示しいただき、遺贈することも可能です。
※このように具体的な金額や財産内容を指定しない遺贈を「包括遺贈」と呼びますが、包括遺贈の場合、受遺者には「負債」も引き継がれるため注意が必要です。
――現在、遺贈寄付を考えている方にメッセージをお願いします。
遺贈を考えることは、亡くなった後のことを見据えるタイミングでもありますが、それは同時に「自分の人生をどのように生きてきたか」を振り返る機会にもなります。
人生で築いてきたものを誰かのために活かしたい、その思いを託せる手段が遺贈寄付です。
また、遺贈寄付を考えた後も人生は続きます。遺贈寄付を通じて残った財産を託せる先があることで心の安心につながり、より充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。
遺贈寄付によって、自身が亡くなった後に遺産が活用され、世界中の子どもたちの未来をつないでいけます。そのような社会貢献の形もあることを覚えておいていただけると幸いです。
(記事は2025年4月1日時点の情報に基づいています)
東京都大田区に本部を置く国際NGO。グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、海外と国内で子どもたちの心と身体を守る活動を行う。アジア・アフリカでは教育・水・医療支援を、国内ではひとり親世帯への食品支援を実施。2013年に東京都から「認定NPO法人」として認可を受ける。
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