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WWFとの出会いは白保 現地の方々とは親戚みたいな関係です
ーー加藤さんとWWFの出会いを教えてください。
加藤 1980年代の石垣島のサンゴ礁保全の活動に、一番深く関わりました。サンゴ礁は美しいだけでなく、多くの魚が産卵し、稚魚が育つ「海のゆりかご」として、海の生きものたちの暮らしにとても大切なんですね。
世界有数の豊かさを誇る白保地区のサンゴ礁を埋め立てて空港を建設する計画に、見直しを求める声が上がっていた頃、歌手としてコンサートのお誘いをいただいたのが始まりでした。会場は小さな公民館でしたが、入りきれないお客様のために、窓を開け放ち、舞台にはみなさんが描いてくださった美しい海の絵が飾られ、とても感動的なコンサートをすることができました。歌が終わると私は客席に招かれ、全員で沖縄の踊り、カチャーシを踊りました。その後、みんなで歌いながら人のトンネルをくぐると、そこは打ち上げ会場(笑)。
その後も、活動の中で何度も白保を訪れて、現地の方々とも交流してきましたから、もう白保の方々とは親戚みたいな関係ですね。
――地域の自然を守ることは、そこに暮らす人々の生活にも深くつながっているのですね。ほかに印象に残っていることはありますか。
加藤 佐渡トキ環境親善大使として、放鳥の準備のときからトキの保護活動にかかわらせてもらいました。日本で絶滅前の最後の野生のトキであるキンちゃんがまだ元気なときに、保護センターへ会いに行きました。奇跡的に長生きだったようですが、いつ命が尽きるか分からないキンちゃん、日本で最後の野生の「ニッポニアニッポン(トキの学名)」をみんなで見守っているというのは、とても感慨深かったです。
トキのお世話をされている方々、トキを保護し、そして、次世代につないでいけるように、田んぼの環境を守る活動をされている皆さんの思いをお伺いでき、うれしく思いました。
寄付をすることで活動の輪に入ることができる
――海外でも、多くの国で環境問題や支援活動の現場を訪ねられています。
加藤 国連環境計画(UNEP)の親善大使としても、10年間で、環境問題を抱える15カ国の現場を訪れましたが、どこも地元の人の地道な環境保全活動が基本でした。すばらしいと思いましたね。ボルネオ島では、熱帯の森とオランウータンの保護活動も目の当たりにしました。
加藤 森林保全の現場に行くと、実感しますね、「森林が大事」だと。
ある川沿いの家に1週間、泊まらせてもらう機会がありました。その集落の近くの川には野生のゾウなどが水を飲みにやってきます。その集落の人たちは、農地転換のために土地を売ってほしいと開発企業に言われたけど、それを「自分たちは森を残すんだ、次の世代に」と言って拒否して、その森に住み続けて保全活動をしていました。とても印象に残っています。
――素晴らしいお話ですね。環境や動物の保護に関心を持っている方の多くが、そんな体験をしたいと望んでいるのではないでしょうか。
加藤 そうですね。でも、なかなか、現地には行けないですよね。それでも、自分がその活動に共感したり、意義を感じたりすることがあれば、寄付をすることでもその活動の輪に入ることはできます。具体的なつながりを感じながら応援することができる。それも立派な環境保全活動です。
未来を大事にするために、残った時間に何が出来るか考える
――寄付を通じて活動に参加するという考えもあるのですね。加藤さんは、WWFの冊子で「私たちの遺産を未来に託しましょう」とコメントを寄せられています。「終活」についてもお話しされていますが、実際にはどんなことをしていらっしゃいますか。
加藤 私は千葉に農場があって、次女のYaeが歌手をしながら、家族で農業も営んで農場を守ってくれています。長女も農業をしています。いま、周囲に休耕田や空き家が増えてきて、この環境をどうしたら未来へ守っていけるのかと考えている。私にとっての終活は、彼女らとの未来作りですかね。彼女たちはすごく一生懸命やってるので、それに思いを寄せています。
私は自分の財産を見える化して、1年に1度、私にもしものことがあった場合の受け取り方を娘たちと話し合っています。状況は変わるので、毎年1回しています。お金はなくなったら困るけれど、あるなら有効に使うというのも選択肢ですよね。
私は生きているうちに有効に使いたい。できれば未来のために。未来なんかどうでもいいと思うと、今という時間がすさんでしまうんです。未来を大事にするために、残った時間に何が出来るか考えるというのは、もう一つの大事な終活だと思います。
遺言を作ることで生きることが楽しくなる
――加藤さんがコメントを寄せている「遺贈(いぞう)」が、「最後の社会貢献」として最近注目されています。元気なうちに遺言書を作成しておくと、亡くなった後に残った財産の一部や全部を寄付できる仕組みです。実際に遺言書を作成し、社会貢献へ意思を表明してくださった方に、メッセージをいただけますか。
加藤 つながりたい。そういう方々とつながりたいですね。どういう思いで決断されたかとか、いまどういう生活をなさっているとか。みなさん、お互いにヒントになることがあるでしょうから、同じ思いを持った人たちのつながりがあったらいいと思います。
そして、どうぞ素晴らしく今を生きてください、と伝えたいです。遺言書を作ることで「自分にいつ何があっても、残った財産は環境や動物を守ることに使われるのね」と思えると、生きることが楽しくなったり、一人じゃないという気持ちになったりできるのではないでしょうか。そう思うことで、まだまだ楽しもうと、いつまでもお元気でいらしたら、いいですね。
実際に遺贈を検討するには?――WWFの松岡さんに聞きました
実際に「遺贈」を検討するには、どのような流れになるのでしょうか。WWFジャパンで遺贈の相談やサポートを専任で担当する松岡永里子さんに教えていただきました
――遺贈とはどのようなものですか。
松岡 お元気なうちに遺言書を作ることで、相続人(親、配偶者、子、兄弟姉妹など)以外へも、お亡くなりになった後の財産の一部や全部を託すことができます。お世話になった恩人や友人、WWFのような社会課題に取り組む団体など、自由に選ぶことができます。相続人がいない方のご遺産は、遺言書がなければ国の財産として国庫に入りますが、せっかくなら関心のあるテーマの社会貢献にも使いたいという声をいただきます。
私自身も遺言書を作成しましたが、「自分の希望をかなえるために、意思を形としてのこす」というのは、とても前向きで明るい作業だと感じます。
――具体的には、どのようにするのでしょうか。
松岡 先ずは、ご自身の財産とご親族や大切な人を書き出して、誰に何を託したいか考えることから始めます。気持ちが固まったら、それを遺言書の形にします。具体的には、遺言書の中で「私の死後の財産を公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)に遺贈します」と記載して、その手続きをする人(遺言執行者)も指名します。
ただし、遺言書は不備があると無効になってしまったり、内容によっては、指名された人や団体では受け取れないケースもあります。なるべくご希望が実現するよう、WWFではサポートのために専任のスタッフが相談をお受けしています。
――遺贈をされる方は、どのような方が多いのでしょうか。
松岡 「動物や自然が大好きなので、保護活動に使ってほしい」という方が多いです。最近は40代の方からのお問い合わせも増えました。「まだずっと先のことだけど、いつ何があるか分からないので、自分の意思や希望は示しておきたい」とお考えのようです。遺言書に死後の希望を明文化しておくことで、「安心した」「社会貢献の意識が高まり、心豊かに過ごせる」というお声を頂きます。
――松岡さんご自身も様々な団体へ寄付をされているということですが、寄付をすることで心の変化はありますか。
松岡 路上ライブに投げ銭をする感覚と同じで、「応援したい」と心が動く活動には気軽に寄付をしてきました。私ひとりの寄付金額は小さくても、応援する気持ちは同じですから、やはり活動の成果が上がったときはとてもうれしいです。WWFでいえば、絶滅の危機にある野生のトラの個体数を回復させるために、生息地である森林の保全や、密猟の防止、保護したトラの野生復帰のリハビリなどの活動に長年注力してきましたが、ようやく、トラの個体数が回復しはじめた地域も出てきました。もちろんWWFだけでなく、世界中の様々な取り組みが実った成果ではありますが、寄付を通じて活動の輪の中に参加できるという高揚感も魅力だと思っています。
――現在の寄付ではなく、未来の寄付として遺贈を選ばれる方の理由にはどのようなものがありますか。
松岡 今すぐの寄付は日々の暮らしがあるので、抵抗がある方もおられますが、遺贈では大切な財産をご生前に減らすことなく、お亡くなりになった後の残余を寄付できるところに意義を感じていただくことが多いと思います。遺言書の書き方によっては、金額の指定も不要ですから、残った分だけご寄付ができます。
また不動産や有価証券などの値動きのあるご資産も、ご生前に急いで売却せず保有したまま遺贈できます。WWFへのご寄付分は、申告により相続税や所得税が控除の対象となります。
――遺贈を決めた後に変更することは可能ですか。
松岡 遺言書は書き換えが自由ですので、遺贈の内容の変更や取り消しも誰にも知られることなくできます。遺言書はライフステージの変化とともにアップデートし、完成度を高めていくことをおすすめします。相続人が先に亡くなる、家を売却して施設へ入居するなど、家族や財産の形態、そしてお気持ちも変化します。遺言書は、ご本人が望む未来を実現するためのツールなので、希望のままに都度、変更して大丈夫です。
――遺贈の相談は無料ですか。
松岡 はい、そうです。私が遺贈に関する相談の専任担当としてご相談をお受けしますので、お気軽にお問い合わせください。事前の相談は必須ではありませんが、私たちとしては、どんな思いで遺贈を託してくださったのかというお話を伺い、お元気なうちから活動を一緒に見守っていただきたいと思っています。
いま、遺言書作成前の、意思の整理が誰でも簡単にできるようワークブックの制作を進めています。完成はまだ少し先ですが、資料をご請求いただいた方には完成後にご案内しますので、ぜひお問い合わせください。(聞き手・永浜敬子、撮影・伊藤菜々子)
WWFのキャンペーン「トラに願いを。トラと、トラがすむ森を守るために」はこちらをご覧ください。
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年にスイスで設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、サステナブルな社会の実現を推し進めています。急激に失われつつある生物多様性の豊かさの回復と、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けて、希少な野生生物の保全や、持続可能な生産と消費の促進を行なっています。活動はすべてサポーターの皆さまに支えられています。ぜひWWFをご支援ください。
© 1986 Panda Symbol WWF-World Wide Fund For Nature (Formerly World Wildlife Fund)® “WWF” is a WWF Registered Trademark
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加藤 登紀子(かとう・ときこ)
歌手・女優
1943年生まれ。「ひとり寝の子守唄」「百万本のバラ」「知床旅情」などのヒット曲で知られる。女優として映画「居酒屋兆治」のほか、声優としてアニメ「紅の豚」にも出演。「加藤登紀子 ほろ酔いコンサート2021」は12月後半、19日(日)京都劇場(京都府)、20日(月)御園座(愛知県)、25日(土)・26日(日)ヒューリックホール東京(東京都)、27日(月)エルガーラホール(福岡県)で開催予定。