目次

  1. 1. 遺産欲しさに親族に手をかける!?
  2. 2. 被相続人が相続権を奪う「相続廃除」
  3. 3. 悩みがある方は弁護士さんに相談を

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「相続欠格」とは、遺産欲しさに(理由は何でもかまわないのですが……)、被相続人や自分より先の順位の相続人を殺そうとしたり、実際に殺してしまったりした場合に、相続人としての地位を失うことです。

サスペンスドラマじゃあるまいし、遺産欲しさに家族に手をかけるなんて、現実にそんなことがあるのかしら? と思ったりもするのですが、わざわざこのような制度があるということは、「そういうことがあるかも」と考えてのことなのでしょう。

それ以外にも、被相続人を脅して自分に都合のいい遺言書を無理やり書かせたり、遺言書を偽造・隠匿・破棄するなどの犯罪行為を行ったりした場合も、同様に相続権を失います。これは、殺人よりは現実に多くありそうです。

特に、公正証書遺言ではなく、自分で書く自筆証書遺言には、こういった危険がはらんでいるのではないでしょうか。

たとえば、お父さんが自筆証書遺言をこっそり書いていたのをみつけて、読んでみたら、自分以外の兄弟にほとんどの財産を相続させる、なんていう内容だったりしたら・・・

そっと燃やしたくなってしまいますよね。
でも、そんなことをしてはいけません。そんなことをすれば、相続権を失ってしまいます!

ちなみに、「相続欠格」となった人の相続権は、子どもに引き継がれます。「相続放棄」は、放棄をした人はもともと相続人ではなかったことになると以前の以下の記事で説明しました。

「父の財産をすべて母に」やさしい気持ちが母親を窮地に追いやる?!

「相続欠格」の場合は、欠格となった本人は相続人としての権利を失いますが、代襲相続人であるその子供は相続する権利を引き継ぐことができるのです。となると、子どものために他の相続人を手にかけて遺産を一人占めさせようと思えばできるということ。こんなことが実際に起これば、八つ墓村並みのホラーです。

「相続欠格」は罪を犯した結果、相続権を失うわけですから、ある意味わかりやすい制度といえますが、もう一つの「相続廃除」は、財産をあげる人が「こいつには財産をやりたくない!」という意志によって相続権を奪うという制度。ちょっと制度の運営がむずかしそうです。

だって、親がカッとなりやすい性格の人だと、ちょっとしたことで「お前は相続廃除だ〜!」なんてことになりかねません。そんなことになったら、大変です。親に歯向かうたびに「相続廃除!!」なんてことになれば、日本中相続廃除だらけです。

私の親なんて、すぐキレる性格ですから、私なんてとっくに「相続廃除」されちゃっています。

でも、ご安心ください。
そんな理不尽なことが行われないように、「相続廃除」が認められるのは、
① 被相続人を虐待したり、重大な侮辱を与えた場合
② そのほか著しい非行があった場合に限られます。

そして、「相続廃除」をするためには、家庭裁判所で審判を仰ぐことになります。被相続人の思い過ごしや気まぐれなどで、簡単に「相続廃除」することのないよう、家庭裁判所も「相続廃除」を簡単には認めていないようです。「相続廃除」も「相続欠格」と同様、相続廃除になった人の相続権は、子どもに相続されます。

財産のために親族を傷つける、親を大切にしないどころか、暴力をふるう……。こんなことは、あってはならないことですよね。「相続欠格」や「相続廃除」など、家族仲良く暮らしていれば絶対に起こりえないことです。それでも、こういうことで困っている方、お悩んでいるという方は一度弁護士さんにご相談されることをお勧めします。

(記事は2020年6月1日現在の情報に基づきます)

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