自筆証書遺言は自宅でも作成可能 保管制度には注意点も
遺言書についてソーゾク博士のレクチャーを受けている朝日さん一家。今回は自筆証書遺言について詳しく聞いています。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、川崎相続遺言法律事務所の弁護士・勝本広太さんです。
遺言書についてソーゾク博士のレクチャーを受けている朝日さん一家。今回は自筆証書遺言について詳しく聞いています。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、川崎相続遺言法律事務所の弁護士・勝本広太さんです。
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自筆証書遺言は自分で書くので、ボールペンやノート、印鑑があれば自宅でも作れます。縦書きにするか横書きにするかは指定がないので、書きやすい方法で構いません。ただし、鉛筆やシャープペンシルは消えやすいので、避けたほうがいいです。
パソコンを使って書いても、大丈夫なのかな。
パソコンでの作成や代筆は認められていません。「自筆」じゃないとダメなんです。ただし、財産目録はパソコンで作れます。
財産目録って何かしら。
資産や負債の合計を示す一覧表と考えてください。 必須ではないのですが、相続人がスムーズに遺産を把握できる利点があります。預貯金や不動産、株式などに加え、負債の内容や金額も盛り込んでおけば、いざという時に相続人が財産を整理する手間を省けるのです。相続放棄するかどうかを判断するのにも役立ちます。
そういえば、自筆証書遺言を法務局で保管してくれる制度が始まったんですよね。
昨年からスタートしました。保管してくれると紛失する心配がなくなります。また、自筆証書遺言は、相続人が勝手に開封してはならず、家庭裁判所で検認という手続きを経なければなりません。保管制度を利用すると、この手続きが不要です。日付や署名、押印などの要件に漏れがないかどうかも確認してもらえます。
手間が省けて、チェックしてもらえるなら安心だ。
ただし、注意点もあります。法務局でチェックしてもらえるのは、あくまで形式だけで、遺言書の内容についてはアドバイスはもらえません。たとえば、遺言書では「譲る」といった表現は避けた方が無難ですが、こういった点も指摘してもらえません。
法務局のお墨付きをもらえるわけじゃないのね。
せっかく書くのだから、しっかりした形で残したいな。
不安がある場合は、弁護士や行政書士といった専門家に相談してください。遺言書が無効になるリスクが小さくなりますし、トラブルが起きる可能性も低くなるでしょう。ケースによって異なりますが、費用は10万~20万円程度です。 無効になりにくい遺言書という点では、公証役場の公証人に公正証書遺言を作ってもらうことも選択肢の一つです。来週、解説しましょう。
・手書きで作成する(自筆)
・法務局保管が始まったが、法務局のチェックは形式のみ
・不安な場合は専門家に相談
(今回のソーゾク博士=川崎相続遺言法律事務所の弁護士・勝本広太さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年10月1日時点での情報に基づきます)